令和8年度の重点課題
"ユニットケアの推進"

ユニットケアとは、入居者を“介護の対象”ではなく“生活する一人の人”として尊重し、その人らしい暮らしを職員と共につくっていくケアの理念です。ユニット型特養が設立された目的でもあります。

山科すみれ園の「これまで」と「これから」

令和6年度の重点取り組み
私たちが山科すみれ園で実現させたかったことは
「人と人とのつながりがある特養にする」
ということでした。
そこで取り組んだのが「面会の自由」です。今では毎日多くのご家族様が面会にお越しになられ、また外出も楽しまれています。
令和7年度の重点取り組み
令和7年度はリハビリの強化に取り組みました。加齢とともに身体機能が低下していくことは仕方ないとしても、「出来るだけ自分で出来ることはしたい!」という思いを入居者も持っておられるので、その思いを後押しするためにもリハビリ環境の強化を図りました。
当園の機能訓練指導員は理学療法士になります。若いですが、知識や経験もしっかりと積み、本当に頼もしい専門職です。毎日入居者との関りを楽しみながら運動や機能訓練に取り組んでいます。

令和8年度の重点目標「ユニットケアの推進」

山科すみれ園は「ユニット型特養」に分類されます。ユニット型特養には次のような条件があります。

①ハード面
・個室であること
・1グループが15名以下の小単位であること(一般的には10~12名程度)
・ユニットごとにリビングやキッチンなどの生活設備が備えられていること

②ソフト面
・家庭的な雰囲気の中で、職員と「顔なじみ」の関係が作れる
・集団ケアから個別ケアへのシフトチェンジ
・個人の生活習慣や意志が、入所後も反映される

言葉でユニットケアを説明するのは簡単ですが、その実現には職員や家族も含めて、「従来の特養」からの意識の転換が求められます。

「施設」「家庭」は本来両極に位置するものです。ユニットケアとは「家庭的な施設」ではなく、「施設の中に小さな家庭をたくさん作る」という表現の方が正しいでしょうか。私はユニットケアの考え方を職員に伝える時、従来の施設感は「病院」、ユニットケアは「シェアハウス」のイメージとして伝えます。

病院は"治療”という目的のために効率やルールが重視されるため、どうしても管理主義になります。入院患者は病院のルール内で、許された範囲内の自由を楽しむことが出来ます。

シェアハウスは"個”としての生活が、1つ屋根の下で営まれています。ルールはありますが、入居者を管理するためのものではなく、共同生活を営む上での、互いの生活を円滑にする目的だったり、不平等を軽減させるなど、生活をより良いものにしていくためのもので、時には入居者同士でルールを話し合って決めたりします。

ユニット型特養は、もちろん完全なシェアハウスにはなり得ませんが、それに近いかたちを目指して試行錯誤しています。個室はホテルや病室のようにカスタマイズ出来ないのではなく、出来る限り自分の好みや個性が反映出来るように、共同生活スペースは気の合う入居者とゆっくり喋られるような小スペースがあったり、個人がゆっくりと趣味に興じられるような場所があるなど、施設で過ごす時間や場所を、より"自分の生活空間”に変えていくことが大切で、私たちサービス事業者は、介護する仕事というよりも、入居者の生活を支援する総合サービスであると言った方が、より理念に近いのかもしれません。生活をサポートする中に介護が含まれるという意味合いです。

ユニットケアへの取り組みを深化させるためには、サービス提供者である私たちが変わらなければなりません。令和8年度は、ユニットケアリーダー研修の受講者を、これまで年2名だったところを、年5名以上受講させます。決して安くはない研修費ですが、今後も研修人数は最低でも5名、しかも介護職以外の職種も受講対象に加えます。

家族や親族、関係者にも協力をお願いしていきます。入居者が生活する楽しみを持てるよう色々と教えて下さい。どんな感じのお家(お部屋)だったか、どういうことを楽しまれて生きてきたのか、折に触れて教えて下さい。いつでも自由に面会して、交流を楽しんで下さい。時には一緒に食事をしたり、出かけたり、互いに出来ることを、少しずつから。

ユニットケアに終わりはありませんが、少なくとも始まりはあります。ハード面を整えて終わりではなく、サービス提供者が「自分が生活したいと思える施設を作る」ことを、本気で取り組み始めてこそ、スタートラインに立ったと言えると思います。


令和8年度は、そのスタートラインに立ちます。これからの山科すみれ園は、これまでの特養の在り方を見直し、新たな価値の創造に向けて取り組みを始めていきます。